高退協便り

退職者連合 原発溶融事故で方針補強

7月12日 記念総会 新年度運動方針を決定

             
 退職者連合は7月12日に開いた総会(写真)で、2011年度の活動方針案を決めた。自治労退職者会出身の真柄栄吉会長(写真)が勇退、顧問となり、事務局長だった林野退職者会出身の阿部保吉さん(写真堰jが、新会長に推挙された。新たな事務局長には、NTT労組退職者の会・羽山治美さんが就いた。

 3月11日の東日本大震災と原発溶融事故を踏まえて、経過報告と運動方針案に補強をおこない提案した。経過については、連合(現役)が、原発推進政策を凍結し、見直しを行うことにした経過・内容を詳しく述べた。
 連合の原発推進方針の転換・凍結について、「原案は国民の意識とは逆行しており、心配していた。これで、恥をかかずに済んだ」(OB)との声も聞こえる。
 以下は、退職者連合の2010年経過報告からの、関連する部分の抜粋。(色刷り

 原子カエネルギー政策について
(1) 連合は、本年4月に開催された政策討論集会で「2012〜2013年度、政策・制度要求と提言」の中で提案した原子力エネルギー政策について、福島第一原子力発電所の事故を受け、その総点検と見直しを行うことにしました。また、総点検と見直しの開始時期については、東京電力の事故収束に向けた「工程表」の進捗状況などを踏まえて決定する。それまでの間、連合原子力エネルギー政策については、より高度な安全確保体制の確立、地域住民の理解と合意という前提条件が確保され難い状況に鑑み、凍結する――としています。
 連合が討論集会に提案した資源・エネルギー政策は、自給(再生)可能エネルギー(太陽光、風力、水力、太陽熱、非食料バイオマス等)の導入・普及を図り、エネルギーの自給率向上を目指す――としています。
 一方、原子カエネルギー政策については、@現下のエネルギー需給構造を勘案し、原子カエネルギーをエネルギー安定供給に欠かすことのできない重要なエネルギー源として位置づけるとともに、CO2削減に有効な手段として位置づける、A政府は、2030年前後における原子力発電所の相次ぐ設備寿命の到来に今のうちから備える、B原子力発電所の設備利用率の向上をめざす、C現在計画中の原子力発電所の新増設については、地域住民の理解・合意と幅広い国民の理解を前提にこれを着実に進める、Dウラン鉱山の権益取得も含めウラン燃料の安定供給を確保すること――などを挙げていますが、連合はこうした「原発推進政策を凍結し、見直しを行う」ことにしたものです。

(2) 菅総理は本年5月に開催された主要8ヵ国首脳会議(G8サミット)で、わが国の電力に占める自然エネルギーの比率を、2020年代の早い時期に現在の約9%から20%に引き上げると表明しました。これは2030年を目標とした政策を前倒ししたものですが、国内では目標達成に向けた具体性に欠けるなどの批判が出されています。しかし、政府は、自民党政権が推進した原発政策を見直し、自然エネルギーの普及・拡充に向け積極的に取り組むべきであると考えます。また、政府は福島第一原発事故を究明するため「事故調査・検証委員会を設置しましたが、国内はもとより国際原子力機構(IAEA)をはじめ世界各国に対し、最悪の事態をまねいた原発事故の原因究明と検証、放射能汚染の状況を公表すべきです。

 
省エネルギー社会への転換、再生可能な代替エネルギーの開発

 退職者連合の新年度方針は、上記のように、連合が「原発推進の凍結」をすすめたことを紹介し、「原発政策を見直し、自然エネルギーの普及・拡充に向け積極的に取り組むべき」ことを明らかにした。その上で、原発問題について「推進」と「脱・反」双方の主張を紹介、省エネ・代替エネルギー開発を強く求める考えを示した。方針の<はじめに>の項で、次のように記している。
        
 2011年度運動方針
 <はじめに>
(1) 3月11日、東日本を襲った大震災は地震、大津波に加え原子力発電所の事故が重なり未曾有の大災害となりました。退職者連合は、被災された方々の救済のため連合が呼びかけた義援金カンパを中央、地方組織で取り組みました。これからも引き続き震災復興のための支援に取り組みます。
 福島第一原発の事故は今日なお収束の見通しが立っていませんが、原発問題について「原発は自然災害・人災等を問わず一度事故が起これば修復に何十年もかかる、だから原発は反対だ」との意見や運動もありましたが、自民党政権のもとで原発は増設され推進されてきました。いま、「それでも原発は必要だ」、「原発なくして日本の経済は成り立たない」、「原発を前提としない日本の国造りを考えるべきだ」等、震災の復旧・復興とともに原発をめぐる議論が交わされています。しかし、国民が政府と東京電力に求めているのは、一日も早い原発事故の収束です。
 政府が設置した福島原発の「事故調査・検証委員会は、あくまでも公正な立場で調査・検証し、その経過と結果については全て公開すべきです。同時に、浜岡原発は停止しましたが、同じように課題の多い原発については福島原発の調査・検証を待つまでもなく、一時停止もしくは緊急安全確保策を講ずる必要があります。退職者連合はこのような考えを基本に、政府に対し原発に依存するエネルギー政策を抜本的に見直し、国民とともに省エネルギー社会への転換、再生可能な代替エネルギーの開発を促進するよう求めて行きます。また、政府は、甚大な被害をもたらした原発事故の反省に立って、わが国の新たな資源・エネルギー政策を示し、国民的な議論を展開するよう働きかけて行きます。

 平和への取組み
 退職者連合の新年度方針のなかで、平和を守る取り組みについての項は、次のように述べている。

(1) 核兵器廃絶運動、米軍基地の縮小を求める現退一致の運動に中央、地方で積極的に参加します。その一環として連合など三団体が主催する広島、長崎の平和大会については、中央・地方で可能な限り参加するよう努力します。
(2) 沖縄の普天間基地の早期撤去を実現させ、同基地の県内移設に反対します。
(3) 広島、長崎の原爆投下、日本で唯一市街戦となった沖縄、街が焦土化した東京、大阪、横浜等の大空襲など、戦争の悲惨さを体験した世代として、戦争を知らない世代に語り継ぐ仕事があります。世代を超えた平和運動を進めます。
(4) 平和なくして社会保障なしを基調に日本国憲法第9条の改悪に反対し、平和であることの幸せを訴え続けて行きます。
 

 退職者連合総会では、原発問題と民主党政権の混乱ぶりについて、意見が出た。
 本部側が、連合の「推進凍結」を歓迎し、自然エネルギーの普及・拡充に向け積極的に取り組むべきことを提起したことで、評価する意見が多数述べられた。
 ただ、多くの発言者は、最近の政府側の混乱を「めちゃくちゃ」との見方をして「政権獲得時の原点に立ち戻って、しっかりと意思統一をすべし」との注文を付けた。
 社会保障と税制をめぐっては、「年金への消費税導入は、スジ違い。遅れている医療や介護の財源にこそ、消費税は活用されるべきだ」との本部見解を了解した。
 以下に、退職者連合の政府要求と総会宣言を掲載。


社会保障制度及び税制に関する政府要求
 
1.政府機関等への意見反映について
 政府は、民主党が掲げる福祉制度等の充実した政治を目指すなら、日本の高齢者組織を代表する退職者連合の代表を政府委員等に積極的に選任すべきと考えます。よって次の審議会等に退職者連合の代表が参加できるよう要求します。
○政府の「社会保障審議会」及び「同年金部会」「同医療部会」「同介護保険部会」「同介護給付費分科 会」の委員として、退職者連合が推薦する者を選任すること。

2.年金制度について
(1)年金制度の見直しについては、多くの加入者の権利に直結する超長期の制度であるので、加入者・受給者の意見反映を保障し、充分な議論により納得の得られる取り扱いをすること。
(2)保険方式から税方式に転換することで年金受給者に保険料の追加負担を強いる制度としないこと。全国民共通の所得比例年金創設は慎重に対処すること。
(3)年金記録問題は、国が責任を持って全面解決を図ること。また。すでに受給が始まっている高齢者を優先して行うこと。
(4)年金積立金の運用にあたっては、国連の提唱する「責任投資原則」の趣旨に沿って行うこと。
(5)公的年金は、全額受給者本人に支給することを原則とし、税、保険料の天引きは本人の選択と すること。

3.医療制度について
(1)高齢者医療制度改革会議の最終とりまとめに基づく改正法案を早期に成立させ、後期高齢者医 療制度を廃止すること。
(2)後期高齢者医療制度が廃止されるまでの間は、低所得者の保険料減額、70〜74歳の患者負担1割凍結措置等の経過措置を存続させること。

4.介護保険制度について
(1)人間の尊厳を守るため社会化された介護を提供するという制度創設の理念を基礎に、必要なサービスが「必要な時自由に利用できるよう」制度を整備すること。
  @要支援・軽度要介護者に対する保険給付を改善し、生活援助給付抑制を撤廃すること。
  A急増する高齢者に対応できるよう総合的・計画的に介護基盤を整備すること。
  B小規模多機能型施設・24時間型訪問サービスを拡充すること。
  C地域包括支援センターの体制を整備し機能を強化すること。地域支援事業の財源構造を改善すること。
  D医療・住宅政策と連携して高齢者が安心して暮らせる住まいを整備すること。
  E公正・公平なケアマネジメントのためケアマネジャーの資質向上と処遇改善をはかること。
(2)介護労働者の処遇を改善し人材を確保すること。このため「介護職員処遇改善交付金」を検証し、関係労働者全体の処遇を改善する安定的な制度を作ること。
(3)普遍的な介護保険制度にするために、医療保険加入者とその家族を被保険者とすること。
(4)介護報酬改定にあたって、利用者の選別強化・給付の重点化・効率化により「要支援・軽度要介護者」「低所得者」の切り捨てを生じさせないこと。複雑な加算方式を改め、利用者が理解しやすい介護報酬に改めること。
(5)政府全体としてペイアズユーゴー原則を貫き、介護改善に必要な財源を確保すること。
  ペイアズユーゴー原則の誤用・予算編威権の放棄である「省庁毎・事業毎の増減均衡」を改めること。

5.税制について
(1)所得税の公的年金等控除の最低保障額を120万円から140万円に戻し、老年者控除50万円(65歳以上)を復活させること。
(2)所得税の医療費控除を改善し、医療・介護費控除に改めること。
(3)総合所得課税を実施し、相続税の抜本的見直しを行うこと。
(4)配偶者控除の廃止は、制度の経過を考慮し慎重に取扱うこと。
(5)税の公平を期するため、厳格な個人情報保護と「社会保障個人会計」との遮断を明確にし「納税者番号」を導入すること。

6.その他
(1)積雪、寒冷地の年金生活者に「積雪、灯油福祉料」等支給できるよう自治体に対する財政措置を講ずること。
(2)地震、風水官等による国民年金保険料免除期間「保険料追加加算額」は、免除や軽減措置を講ずること。また、その必要な費用は国で負担すること。



 

総 会 宣 言
 退職者連合の第15回定期総会は、7月12日組織結成20周年記念総会として全国から中央一地方組織の代議員、役員240名余が参加し成功裡に開催されました。
 3月11日東日本を襲った震災は、大地震と大津波に加え原子力発電所の事故が重なり、かつて経験したことのない大惨事となりました。これはまさに天災と人災です。
 被害を被った方々の心情を思えば言葉もなく、ひたすら被災地に元の生活が戻る日の一日も早いことを祈るばかりです。日本国中はおろか世界の人々がこぞって協力し復旧・復興のために力を尽くしています。
 6月22日が会期末の国会は70日間の会期延長となりました。会期末に提出された内閣不信任決議案は首相の退陣表明により否決されたものの、その後の法案処理と首相の退陣条件と時期等を巡る与野党間の駆け引きや、与党内、政府部内の混乱は国民の政治不信を一層増大させています。菅首相は僅かに期間延命はしましたが、その分民主党政治に対する国民の不信感は増大しました。まさに震災対策そっちのけの日本の政治の下で、一番の被害者は未だに収束のめども立たない原発被害者をはじめ被災地の人々です。
 後期高齢者医療制度の廃止を目指した我々の運動は、政府改革会議への退職者連合代表の初の参加と改革会議に対する退職者連合の取り組みにより、「最終とりまとめ」は内容に不十分さはあるものの―定の到達点に達しました。この一年間の中央・地方組織の取り組みと到達点は退職者連合の運動にとって大きな財産になることを全体で確認出来るものです。
 今後の課題は法案成立による後期高齢者医療制度の廃止ですが、残念ながら現下の政治情勢は楽観を許しません。今後は介護保険制度の改善や、年金制度改革の課題と合わせ引き続き運動を強化する必要があります。
 今総会で決定された政府要求は早速政府に提出し、その実現のために政党要請、議員要請等中央・地方の組織の総力を挙げた取り組みを進めます。
 退職者連合は連合とも連携し民主党を中心とする政治勢力と協力しながら、私たちの運動と要求の前進、生活の向上を図ります。同時に政府にも各政党にも我々の要求と意見は常に明確に主張していきます。
 組織結成から20年、この間退職者連合の運動を守り育んできた諸先輩の努力に敬意を表し、後に続く者がしっかりとこれを受け継ぎ、中央一地方組織の拡充強化とともに平和憲法を守り、安心・信頼の社会保障制度確立のため現退一致で頑張りましよう。
 以上宣言します。
                             
2011年7月12日
        退職者連合20周年記念 第15回定期総会
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