| ●退職者連合 高齢者医療【最終取りまとめ】報告 | |
<参考資料> 高齢者医療制度「最終とりまとめ」に対する退職者連合の見解 「不満だが やむなし」 |
||
| 職者連合は2011年1月18日、幹事会を開き、高齢者医療改革会議の「最終とりまとめ」に関する見解を、「不満であるがやむなし」と了承した。 退職者連合の方針と違うところもあり、委員の一人として改革会議に参加していた阿部事務局長の解説を踏まえて、了承したもの。 以下に、「最終とりまとめ」と退職者連合の解説・見解を収録するが、「最終とりまとめ」については黒字印刷とし、退職者連合の見解などについては青色印刷で区別した。 政府はこの「最終とりまとめ」を受けて、通常国会に関連法案を提出する予定。法案成立後、準備期間を2年かけ、政省令の制定⇒全ての市町村等でコンピュータシステムの改修⇒実施体制の見直し・準備・広報をおこなう。 ただ今のところ、制度の担い手となる知事側が都道府県単位の高齢者医療には反対をしており、自治体側の準備も間に合わないとかで、「法案提出を1年以上先送りする方針を固めた」との報道がある(1月22日 日本経済新聞)。 高齢者医療制度は2008年4月から、独立した制度として運用されているので先送りされても大きな影響はないだろうが、真剣な議論の末のとりまとめであり、今後の国会等での議論が注目される。 |
||
![]() |
||
![]() |
||
|
高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ) |
||
|
平成22年12月20日 高齢者医療制度改革会議 |
||
| T はじめに ○ 本改革会議は、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度の具体的なあり方について検討を行うため、厚生労働大臣の主宰による会議として、昨年11月に設置され、以来、今日まで14回にわたり会議を重ねてきた。 ○ 審議に当たっては、厚生労働大臣より示された次の6原則を踏まえ、検討を進めてき た。 @後期高齢者医療制度は廃止する Aマニフェストで掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する B後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする C市町村国保などの負担増に十分配慮する D高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものにならないようにする E市町村国保の広域化につながる見直しを行う ○ また、この間、本年8月には、制度の基本骨格について中間とりまとめを公表するとともに、厚生労働省において、その前後に国民の意識調査を2回、地方公聴会を7回開催するなど、後期高齢者医療制度導入時の反省に立って、幅広く国民の意見を伺う取組も進めてきた。 *経過説明 退職者連合は、中間とりまとめの前後に厚生労働省講堂で開催したグループ討議をはじめ、全国6ブロックで開いた地方公聴会へ積極的に参加し、後期高齢者医療制度の廃止・新制度の早期実現に向けた意見反映を行うため、各ブロック代表による対策会議を開催 し、参加人員の確保や公聴会における主張内容の意思統一を図った。 グループ討議は、退職者連合医療・福祉専門委員から6名が参加し全員が意見を述べるとともに、地方公聴会では名古屋(東海・北陸ブロック)を除く全国5ブロックの会場で地方組織の代表者が意見発表を行った。 昨年9月以降改革会議は、中間とりまとめの中で残された課題について論議し12月20日の第14回改革会議で、「各委員が全ての点で納得・合意することは困難な面があり、委員の意見の大勢をとりまとめたものである」との座長見解を受け止め、最終とりまとめ(案)を了承した。 最終とりまとめは、退職者連合の主張からみて不十分さは残るものの、退職者連合が第1回改革会議から主張してきた『新たな高齢者医療制度の施行により、後期高齢者医療制度を廃止する』『国民皆保険を堅持する⇒そのために国民皆保険を支える国保を充実する⇒市町村国保を都道府県単位へ広域化し、国保の財政基盤を安定させる⇒国保の保険者は都道府県とする』ことについて、前進を図ることができたと考える。 また、国保の財政運営を都道府県単位に広域化するに当たって、全年齢(国保の全ての加入者)を対象とした移行目標年度(2018年)を明示したこと、75歳以上高齢者の医療給付費に対する現役からの支援金について総報酬割を導入できたこと等については、退職者連合が目指す制度改正の方向と一致する到達点が得られたと判断する。 退職者連合阿部事務局長は、12月20日の最終の改革会議で厚生労働大臣に対し、最終とりまとめに基づく改正法案(国民健康保険法等の一部改正)を国会に提出するとともに早期に成立を図り、政府・民主党が公約した後期高齢者医療制度を確実に廃止するよう強く主張した。 ○ 中間とりまとめでは、 @加入する制度を年齢で区分せず、75歳以上の高齢者の方も現役世代と同じ国民健康保険(以下「国保」という。)か被用者保険に加入し、年齢による差別的な扱いを解消すること A多くの高齢者が加入することとなる国保について、第一段階で高齢者に関し都道府県単位の財政運営とし、第二段階で現役世代についても都道府県単位化を図ること を基本とした新たな制度の骨格を示した。 ○ この最終とりまとめは、中間とりまとめで積み残した課題を中心に9月以降に行った議論の結果を基に、新たな制度の具体的なあり方についてとりまとめたものである。 ○ なお、議論の中心は、高齢化の進展に伴って増大する医療費の負担をどう分かち合うかという点を巡るものであるため、各委員が全ての点で納得・合意することは困難な面があり、この最終とりまとめは、委員の意見の大勢をとりまとめたものである。 U 改革の基本的な方向 ○ かつての老人保健制度は、75歳以上の医療給付費を公費5割と各保険者からの拠出金5割で賄っていたが、@拠出金の中で高齢者と現役世代の保険料が区分されておらず高齢者と現役世代の負担割合が不明確であったこと、A加入する制度や市町村により高齢者の保険料額に大きな差があったこと等の問題点があった。 ○ これらの問題点を改善するため、現行の後期高齢者医療制度は、国保・被用者保険から分離・区分した独立型の制度を創設し、高齢者と現役世代の負担割合を明確にして世代間の連帯で支えるとともに、高齢者一人ひとりに保険料負担を求め、原則として同じ都道府県で同じ所得であれば同じ保険料とすることで高齢者の保険料負担の公平化を図ろうとした。 ○ しかしながら、後期高齢者医療制度は、年齢到達でそれまでの保険制度から分離・区分するという基本的な構造において問題があり、国民の十分な理解も得ることができなかった。この点は、意識調査の結果を見ても、一定年齢以上の高齢者だけを一つの医療制度に区分することについて、「適切でない、あまり適切でない」とする割合が44%(有識者に同様の調査を行うと約53%)と、「適切である、やや適切である」とする割合約30%(有識者;約35%)を上回っていることからも明らかである。 ○ また、後期高齢者医療制度では、75歳以上の「高齢者間の負担の公平」を図るため、被用者や被扶養者の方々を被用者保険から分離・区分したことから、75歳以上の被用者の方は傷病手当金等を受けられず、保険料も全額本人負担となり、被扶養者であった方も保険料を負担することとなった。このため、被用者や被扶養者の方々については、75歳を境に保険料や保険給付等が異なることとなり、「世代間の不公平」が発生することとなった。 ○ このため、今回の改革では、独立型の後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の方も現役世代と同様に国保か被用者保険に加入することとした上で、@公費・現役世代・高齢者の負担割合の明確化、A都道府県単位の財政運営といった現行制度の利点はできる限り維持し、より良い制度を目指すこととした。 ○ これにより、75歳以上の被用者の方も傷病手当金等を受けることができるようになるとともに、保険料については事業主と原則折半での負担となる。また、被用者保険に移る被扶養者については被保険者全体で保険料を負担することとなる。 ○ このほか、後期高齢者医療制度においては、 @高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを基本的に上回る構造であること A患者負担の上限は、同じ世帯でも、加入する制度ごとに適用されていること B健康診査が努力義務となる中で、受診率が低下したこと 等の問題も指摘された。 ○ 新たな仕組みの下では、 @高齢者の保険料の負担率を見直すとともに、各都道府県に財政安定化基金を設置し、高齢者の保険料の伸びを抑制できる仕組みとする A現役世代と同じ制度に加入することで、患者負担が世帯単位で合算され、高額療養費により世帯当たりの負担額は軽減される B高齢者の健康診査は、各保険者の義務とする 等により、現状の後期高齢者医療制度の問題点は改められる。 *経過説明 後期高齢者医療制度の保険料は、個人単位で納付義務が課せられていたが、新制度においては世帯主(扶養者)が納付義務を負うことになる。 制度の枠組み・加入関係では、健保連や連合等の提案など各団体の主張があり、長時間わたり論議を重ねたが、中間とりまとめの段階では退職者連合主張の内容となった。つまり、退職者連合が主張した、@職域保険と地域保険は当面分立とする、A年齢で区分した制度ではなく、全年齢が職域保険か地域保険に加入する――ことが実現した。 ○ また、後期高齢者医療制度の廃止を契機として、長年の課題であった国保の財政運営の都道府県単位化を実現し、国民皆保険の最後の砦である国保の安定的かつ持続的な運営を確保する。 * 経過説明 退職者連合は、国保財政運営の二段階広域化は、第一段階では75歳以上の高齢者とそれ以外の保険料が異なることになるので、2013年(平成25年)3月の新しい高齢者医療制度の実施段階で、一挙に都道府県単位へ移行するよう主張した。 しかし、厚生労働省は、@後期高齢者医療制度発足によって市町村国保から都道府県単位(広域連合)へ移行したことにより、同一県内では保険料格差が解消されている、これが従前の市町村国保に戻ることで、高齢者間の保険料格差が復活することは避けたい、A現行制度の移行により相当数の加入者は、それ以前より保険料負担が減っている。従前の国保に戻ることで負担増になることは避けたい――という理由から2013年3月の新しい高齢者医療制度の施行時は、「第一段階」として75歳以上高齢者の都道府県単位の財政運営を先行実施することに固執した。 退職者連合は、一挙広域化を主張しつつ、仮に二段階方式とする場合は、第二段階の全年齢広域化を連やかに実施することとその時期の明示を求めた。中間取りまとめでは、「当面、74歳までの市町村国保と、75歳以上の都道府県単位の財政運営が併存することになるが、早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図り、簡素で分かりやすい制度体系としていくことが必要である」としていたが、最終とりまとめでは後述のように、「(第二段階への移行の目標時期については)第一段階の施行から5年後(平成30年度)を目標とすることとし、法律上これを明記する」こととした。 V 新たな制度の具体的な内容 1.制度の基本的枠組み、加入関係 ○ 後期高齢者医療制度を廃止し、地域保険は国保に一本化する。 ○ 加入する制度を年齢で区分することなく、被用者である高齢者の方や被扶養者は被用者保険に、これら以外の地域で生活している方は国保に、それぞれ現役世代と同じ制度に加入するものとする。 ○ 新たな制度の施行に伴う資格の移行は確実かつ簡素な仕組みで行う必要がある。このため、後期高齢者医療制度の被保険者のうち、被用者保険・国保組合に加入する方以外は、自動的に国保に加入することとし、世帯主からの国保への加入手続を不要とする。一方、被用者保険等においては、通常の資格取得時・被扶養認定の手続と同様の手続が必要となることから、届出漏れが生じないよう、国は保険者と連携し、周知・広報を徹底する。 ○ 国保組合については、被用者保険と同様、高齢者であっても加入要件を満たす組合員及び組合員の世帯に属する方は当該組合に加入できるものとする。特定健保(厚生労働大臣の認可を受けて、一定の要件を満たす退職者及びその被扶養者に対する保険給付、保険料の徴収等を行う健保組合をいう。)については、現在、75歳になるまで加入するものとなっているが、制度として年齢による一律の区分はなくすこととし、75歳以上の扱いは、個々の特定健保が規約で定める。 ○ なお、将来的な医療保険制度の姿については、地域保険と被用者保険が共存し、それぞれの保険者機能を活かせる制度体系を維持すべきとの意見がある一方で、被用者保険についても地域保険に統合すべきという意見があった。 2.国保の運営のあり方 (1)国保の構造的問題への総合的な対応 ○ 無職者・失業者・非正規雇用者などを含め低所得の加入者が多く、年齢構成も高いなどの構造的問題を抱える国保については、平成22年の通常国会において、平成21年度で暫定措置の期限を迎えた財政基盤強化策を4年間延長し、低所得者を多く抱える保険者に対する財政支援措置や、高額な医療費の発生が国保財政に与える影響を緩和する措置などの対応が講じられることとなった。 ○ また、収納率向上が課題であったことから、これまで、年金からの保険料の引き落としや、収納対策緊急プランの実施などの取組が進められてきた。 ○ 今後の更なる少子高齢化の進展を踏まえると、こうした取組の充実に加え、保険財政の安定化、市町村間の保険料負担の公平化等の観点から、国保の財政運営の都道府県単位化を進めていくことが不可欠である。 (2)都道府県単位の財政運営 ○ これまで医療保険制度においては、保険者の財政基盤の安定を図るとともに、地域の医療提供のまとまりに見合った保険者となるよう、保険者の再編・統合が進められてきた。再編・統合に当たっては、安定的な財政運営ができる規模が必要であること、各都道府県において医療計画が策定され、医療サービスはおおむね都道府県の中で提供されている実態があること等から、都道府県単位を軸として、協会けんぽの財政運営の都道府県単位化や、健保組合の都道府県単位での再編・統合を図るための地域型健保組合の仕組みが導入されてきた。 ○ 一方、国保においては、保険財政共同安定化事業や高額医療費共同事業の実施による部分的な対応は図られてきたものの、財政運営自体を都道府県単位化することは長年の課題として残されてきた。 ○ また、新たな仕組みの下では、多くの高齢者が国保に加入することとなるが、単純に従前の市町村国保に戻ることとなれば、高齢者間の保険料格差が復活し、多くの高齢者の保険料が増加する(市町村国保から都道府県単位の後期高齢者医療制度への移行により、全国における格差は5倍から2倍に縮小し、全国的には多くの世帯で保険料も減少したが、この逆のことが起きる)。 ○ このため、新たな制度では、まず第一段階において、75歳以上について都道府県単位の財政運営とする。 ○ 75歳未満については、現在、市町村ごとに保険料の算定方式・水準が異なることから、一挙に都道府県単位化した場合には、国保加入者3,600万人の保険料が大きく変化することとなるため、都道府県が策定する「広域化等支援方針」に基づき、保険料算定方式の統一や保険財政共同安定化事業の拡大などの環境整備を進めた上で、第二段階において、期限を定めて全国一律に、全年齢での都道府県単位化を図る。 (3)都道府県単位の運営主体のあり方 ○ 都道府県単位化されている現行の後期高齢者医療制度については、市町村が保険料の徴収及び窓口業務を担い、それ以外の財政運営、資格管理、保険料の決定・賦課、保険給付、保健事業といった業務を後期高齢者医療広域連合が担っている。 ○ 後期高齢者医療広域連合については、制度施行当初から市町村等からの出向職員が精力的に業務を遂行し、現在では、施行当初に比べると安定的に運営されている状況にある。 ○ しかしながら、後期高齢者医療広域連合については、@都道府県や市町村と比べ、住民から十分に認知されていない、A広域連合長は、運用上、住民から直接選ばれていないので、責任が明確でないと受け止められている、B市町村に対する調整機能が必ずしも十分に働いていない、といった問題点が指摘されている。 ○ 都道府県単位の運営主体のあり方については、 @都道府県が国保の保険財政に責任を持つことにより、都道府県が行っている健康増進や医療の効率的な提供に向けた取組がより有効に推進されることが期待できること A都道府県が担うことにより現行の後期高齢者医療広域連合に対して指摘されている問題点の改善が期待できること 等から、市町村による広域連合ではなく、都道府県が担うことが適当であるとの意見が大勢である。なお、財政運営を担うという大きな問題であることから、国は、引き続き、都道府県をはじめとする地方関係者との調整を精力的に行うなど、その理解と納得を得るための努力を重ねることが必要である。 (4)第一段階における運営の仕組み ア 事務の分担等 ○ 財政運営、標準(基準)保険料率の設定は、都道府県が行う。 ○ 世帯単位で保険料を徴収することから、標準(基準)保険料率に基づく保険料率の決定、賦課・徴収は市町村が行う。 ○ 保険料率の決定・賦課・徴収・納付における都道府県と市町村の具体的な分担は、次のとおりとする。 ・ 都道府県は、高齢者の保険給付及び保健事業に要する費用から、均等割と所得割の2方式で標準(基準)保険料率を定める。なお、離島など医療の確保が著しく困難である地域については、現行制度同様、不均一保険料率の設定を可能とする。 ・ 市町村は、標準(基準)保険料率を基に、条例で高齢者の保険料率を定める。 ・ 市町村は、現役世代の被保険者の保険料率を条例で別途定める。 ・ 市町村は、高齢者の保険料と同一世帯の他の現役世代の被保険者の保険料を合算し、世帯主に賦課し、世帯主から徴収する。 ・ 市町村は、高齢者分の保険料を都道府県へ納付する。 ○ 75歳以上の高齢者に係る保険証の発行を含む資格管理は市町村が行う。 ○ 75歳以上の給付事務については、「都道府県」が行うとすると、給付事務が複雑になり、被保険者から分かりにくく、事務処理に時間を要する。また、全ての都道府県において事務処理体制を整え、給付事務を円滑に行うことは現実的に困難な面もある。このため、給付事務については「市町村」の事務とする。 ○ 給付事務をはじめとする各種事務については、事務処理や体制の効率化を図ることができるよう、市町村等の意向に沿って、国保保険者の共同処理機関としての国民健康保険団体連合会等を最大限活用できるようにする必要がある。 ○ 以上のことから、都道府県と市町村の事務の分担については、「都道府県」は、財政運営、標準(基準)保険料率の設定を行い、「市町村」は、資格管理、標準(基準)保険料率に基づく保険料率の決定、賦課・徴収、保険給付、保健事業等を行うといった形で、分担と責任を明確にしつつ、共同運営する仕組みとする。 ○ なお、これらの事務については、それぞれ都道府県及び市町村が処理することが基本となるが、地域の実情に応じ、自主的な判断によって地方自治法に基づく広域連合を活用することや市町村の事務の一部を都道府県が行うこととすることも考えられる。 ○ 国は、全国にわたって国保の運営が健全かつ円滑に図られるよう、引き続き、財政上の責任を十分に果たしていくとともに、国保間や国保と被用者保険間の調整など各般にわたる支援を行う。 イ 財政リスクの軽減 ○ 現行の後期高齢者医療制度と同様に、次の財政安定化のための方策を講じる。 @財政安定化基金 ・ 都道府県に財政安定化基金を設置し、給付の増加や保険料の収納不足に対応する(給付の増加は貸付け、保険料の収納不足は1/2交付、1/2貸付け)。また、現役世代の市町村国保の保険料の伸びとの均衡を図る観点から、保険料の上昇抑制のためにも交付できるものとする(後述)。財政安定化基金の財源は、国:都道府県:保険料=1:1:1の割合で負担する。 A2年を一期とした財政運営 ・ 保険料は、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものとして設定す る。 B都道府県間の財政力格差の調整(調整交付金) ・ 高齢者の所得分布による都道府県間の財政力格差を調整し、医療費水準や所得水 準が同じであれば、標準(基準)保険料率は同じ水準とする。 C保険基盤安定制度 ・ 所得の低い方に対する保険料軽減制度(7割・5割・2割)を設け、軽減分を公費 で負担する。 D高額医療費の公費負担等 ・ 高額な医療費については保険料で賄うべき部分の5割を公費負担とし、更に特に 高額な医療費については保険料で賄うべき部分は全国レベルの共同事業とする。 E保険料の特別徴収 ・ 65歳以上世帯の世帯主で希望する方は、引き続き、年金からの引き落としを実施 できるようにするほか、収納率の低下を防止するための措置を講じる(後述)。 *経過説明 第一段階では75歳以上の国保加入者について、先行して都道府県単位の運営とすることとされたが、広域化が望ましい財政運営と、身近なサービスが望ましい資格管理や給付等に関する分担のあり方が検討された。その結果、上記のように都道府県と市町村が分担と責任を明確にしつつ、共同運営する仕組みとする結論になった。 なお、国保の運営主体は、第一段階(75歳以上)、第二段階(全年齢)それぞれについて「都道府県」か「広域連合」かについての意見が対立し、最終とりまとめまで論議が継続された。最終的には市町村による広域連合ではなく都道府県が担うことが適当であるとの意見が大勢であったが、国が都道府県の理解と納得を得るために努力する必要性も指摘された。退職者連合は、当初から保険者は都道府県とするよう主張した。 全国知事会は、政府の大幅な財政負担を求め、これが明確にされない限り了解できないとして最後まで反対した。このようなことから、最終とりまとめでは、厚生労働省(政務三役)と地方(全国知事会・全国市長会・全国町村会・全国広域連合協議会)で構成する「国と地方の協議の場」を設置し、財政基盤強化策のあり方や、市町村 国保の法定外一般会計繰り入れの解消に伴う支援のあり方等について検討することとなった。 (5)全年齢での都道府県単位化(第二段階)に向けて ○ 第二段階に向けては、@保険料の設定(高齢者と現役世代の保険料の基準は別々とするのか、一本化するのか等)、A費用負担のあり方(被用者保険と国保の間の財政調整の方法をどうするのか)、B事務体制のあり方(都道府県と市町村の役割分担について見直す必要があるのか)等について結論を得ることが必要であるが、これらの点については、現時点で拙速に判断することは適当ではなく、今後の医療費の動向や社会経済情勢等を踏まえつつ、第一段階の都道府県単位化の施行状況等も見ながら検討することが必要である。 ○ 一方、第二段階への移行の目標時期については、@第一段階はあくまで暫定的なものであり、できる限り速やかに全年齢での都道府県単位化を図ることが必要であること、Aそのためには、「広域化等支援方針」に基づき、市町村間の保険料の平準化等の取組が計画的に進められることが必要であるが、具体的な時期が定められなければ実効性のある取組は進まないことから、目標とする具体的な時期を設定することが必要である。 ○ 具体的には、第一段階の施行状況を確認し、第二段階の検討・施行準備に必要な期間、法定外一般会計繰入・繰上充用の解消に向けた取組に必要な期間、保険料の平準化を円滑に行うために必要な期間を勘案して、第一段階の施行から5年後(平成30年度)を目標とすることとし、法律上これを明記する。 ○ この第二段階への移行の目標時期までに、保険料の平準化に向けて、「広域化等支援方針」に基づき、 @保険財政共同安定化事業の対象医療費(現行30万円超)の拡大 A保険財政共同安定化事業の拠出金の算定方法の見直し(医療費水準に基づく拠出を縮小し、被保険者数・所得水準等に基づく拠出を拡大) B保険料算定方式の標準化 C収納率向上や医療費適正化等への取組 D法定外一般会計繰入・繰上充用の段階的・計画的な解消に向けた取組 等について、都道府県のリーダーシップの下に、市町村は利害を超えて取り組む必要があり、国においても必要な助言・支援を行う。 ○ 特に、市町村国保の法定外一般会計繰入や繰上充用については、市町村の政策的判断によって行っている部分もあるが、市町村国保の財政運営の健全化を図るためには、保険料引上げ、収納率向上、医療費適正化など総合的な取組を行うことにより、段階的かつ計画的に解消していくことが望ましい。今後、第二段階への円滑な移行を図るという観点も踏まえ、国においては、市町村間で不公平が生じないよう配慮しつつ、法定外一般会計繰入・繰上充用を解消する市町村の取組に対する支援のあり方について検討する。 ○ なお、広域化等支援方針に基づく取組を進める前提として、第二段階における標準(基準)保険料の算定方式については、2方式で賦課される後期高齢者医療制度と異なり国保の保険料は4方式・3方式が幅広く採用されている現状等を踏まえ、各都道府県の判断により、移行しやすい算定方式をそれぞれ採用することとする。 ○ また、第一段階では、高齢者の保険料の収納率は高く、市町村間の格差も僅かであることから、標準(基準)保険料率を基に市町村が保険料率を定め、市町村は徴収した高齢者分の保険料を納付する仕組みとなる。しかしながら、全年齢を都道府県単位化する第二段階においては、現役世代の保険料は、高齢者より収納率は低く、市町村間の格差も大きいことから、市町村が責任を持って収納対策に取り組む仕組みとする。その具体的なあり方については、第一段階の施行状況も踏まえつつ、地域の医療費格差の保険料率への反映方法、市町村間で取組が異なる保健事業の保険料率への反映方法等を含めて検討する。 ○ なお、国保全般のあり方について十分な議論が尽くされないままに、第二段階の方針・時期・運営主体等を法律に明記することは適当ではないとの意見がある一方で、第二段階の実現こそが重要であるとの意見や、第二段階を実現することを前提に第一段階を経過的に行うという位置づけを明確にしておく必要があるとの意見があった。 *経過説明 退職者連合は、全年齢を対象とした国保の都道府県単位への移行を前提として、高齢者の保険料は応能負担を原則として、全年齢統一の料率を設定することを繰り返し主張した。 この主張に対し全国知事会は、国保全般のあり方の議論が尽くされないまま、第二段階の方針・時期・運営主体等を法律に明記することに反対である、との考えを最後まで主張した。このような論議の中で最終とりまとめでは、「第二段階に向けては、保険料・費用負担・事務体制等について結論を得ることが必要だが、現時点で拙速に判断することは適当ではなく、第一段階の施行状況等も見ながら検討することが必要」と記載するにとどまった。 しかし、第一段階はあくまで暫定的なものであるとして、退職者連合が主張した全年 齢を対象とする都道府県単位への移行(第二段階)目標時期について、平成30年度(2018年度)と明確にさせ法律上これを明記することとしたことは前進である。長期に及ぶこととはなったが、今後継続して取り組むべき重要な課題といえる。 (6)国と地方の協議の場の設置 ○ 国保の構造的問題の解決及び全年齢での都道府県単位化(第二段階)に向けて、費用負担のあり方や国保の運営の具体的なあり方等について、厚生労働省と地方の協議の場を設置し、具体的な検討を行う。 ○ 具体的には、平成25年度で暫定措置の期限を迎えることとなる財政基盤強化策の平成26年度以降のあり方、法定外一般会計繰入・繰上充用を解消する市町村の取組に対する支援のあり方、第二段階の都道府県単位化を図る際の保険料の設定、事務体制等の国保の運営のあり方について幅広く検討を行う。 3.費用負担 (1)支え合いの仕組み ○ 新たな仕組みの下では、高齢者も、国保や被用者保険にそれぞれ加入することとなるが、65歳以上については、一人当たり医療費が高く、国保・被用者保険の制度間で加入者数に大きな偏在が生じることから、引き続き、これらの方の医療費を国民全体で公平に分担する仕組みを設けることが不可欠である。 ○ 現行の後期高齢者医療制度は、年齢到達でそれまでの保険制度から分離・区分すること等について国民の理解を得ることができなかったことから、独立型制度を廃止し、75歳以上の方も国保・被用者保険に加入することとなるが、75歳以上の医療給付費については、公費、75歳以上の高齢者の保険料、75歳未満の加入者数・総報酬に応じて負担する支援金で支える。 ○ このような費用負担とすることにより、75歳以上の方の偏在により生じる保険者間の負担の不均衡は調整されることとなるが、加えて、65歳から74歳までの方についても、国保に偏在する構造にあり、この点についても費用負担の調整が必要であることから、引き続き、現行の前期財政調整と同様の仕組みを設ける。 *経過説明 退職者連合は、財政調整について「65歳以上の医療費について高齢者医療費勘定を設け、現在の65〜74歳を対象とする前期高齢者医療財政調整方式を75歳以上にまで拡大する。高齢者医療費勘定への公費の投入は、75歳以上医療費の5割とする」ことを主張してきたが、今回の到達点は「75歳以上の勘定を設定して、国保保険料に加えて公費5割と現役世代からの支援金で支える」「65〜74歳について現行の前期高齢者医療財政調整と同様の仕組みを設ける」とするにとどまった。 75歳以上の医療費については、支え合いの原則に基づき、75歳未満からの支援金が拠出されているが、現行の制度では各保険者間の加入者割となっていた。新たな制度においては、退職者連合が主張してきたように、加入者割から総報酬割=応能負担に改正し負担の公平性を図ることとした。 ○ また、前期財政調整と同様、次の措置を設ける。 @ 75歳未満の加入者に対する65歳から74歳までの加入率が著しく低い保険者の負担が過大とならないよう、加入率の下限を定める。 A 65歳から74歳までの方に係る給付費が著しく高い保険者について、一定の基準を超える部分を調整の対象から外すことにより、各保険者の医療費の効率化を促進する。 B 納付金等の他保険者への持出しが、給付費等の義務的支出の合計額に比して著しく過大となる保険者の納付金のうち、その過大となる部分について、全保険者で再按分する。 ○ なお、現行の高齢者医療制度においては、支援金・納付金の負担により、現役世代の多くが加入する被用者保険の負担が増加し、財政の悪化が見られることから、負担を軽減する措置が必要であるとの意見、前期財政調整による健保組合等の負担の問題について十分な議論が尽くされていないという意見、支援金・納付金による現役世代の過重な負担が続けば、働く意欲や活力を削ぎ、景気にも悪影響を及ぼすこと等から、負担総額に一定の上限を設けることや公費投入の対象年齢の引下げを含む更なる公費拡充を併せて図るべき等の意見があった。一方、こうした意見に対しては、被用者保険の利益を優先して考えており、市町村国保を含め各保険者の負担が公平なものにならない限り、また、財源確保のめどが立たない限り、適当ではないとの意見があった。 (2)公費 ○ 公費については、高齢者や現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要である。 ○ 現行の高齢者医療制度は、75歳以上の医療給付費に約5割の公費(平成22年度予算ベース;5.5兆円)を投入しているが、現役並み所得を有する高齢者(約120万人、約7%)の医療給付費には公費負担がなく、その分は現役世代の支援金による負担となっていることから、まず新たな制度への移行時に、これを改善し、実質47%となっている公費負担割合を50%に引き上げる。 ○ 現在、75歳以上の医療給付費に対する公費については、国:都道府県:市町村が4:1:1の比率で負担しているが、75歳以上の医療費を国民全体で支え合うという考え方や、新たな制度が地域保険と域保険に分離されることを踏まえ、国及び地方が適切に財政責任を果たす。 ○ 現在、「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置され、社会保障改革の全体像及びその安定的な財源の確保について議論が進められているところであるが、医療費財源をどのように確保していくかについては、その時々の社会経済情勢等を踏まえながら、国と地方の財源のあり方を含め、政府全体として適切に対応することが必要である。このため、定期的に、医療費の動向や社会経済情勢等を踏まえながら、公費のあり方等を検討する仕組みとし、これを法律に明記する。 ○ なお、「政府・与党社会保障改革検討本部」での議論を通じて、早急に社会保障制度全体のグランドデザインを描き、医療保険制度の財源のあり方についても結論を得た上で、高齢者医療制度の改革の内容をとりまとめるのが適切な手順であるとの意見がある一方で、新しい制度の結論を出し、それを受けて社会保障全体の財源について最終的に結論を得るべきとの意見があった。 (3)高齢者の保険料 ○ 国保に加入する75歳以上の方の保険料については、同じ都道府県で同じ所得であれば、原則として同じ保険料とし、その水準については、現行の後期高齢者医療制度より増加することのないよう、引き続き、負担能力を考慮した応分の負担として医療給付費の1割相当を保険料で賄う。 ○ 現行制度においては、75歳未満の現役世代の負担の増加に配慮し、「現役世代人口の減少」による現役世代の保険料の増加分を75歳以上の高齢者と現役世代で折半し、高齢者の保険料の負担割合を段階的に引き上げる仕組みになっている。しかしながら、現行制度では、高齢者と現役世代の保険料規模の違いを考慮していないため、基本的に高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造にある。また、高齢者人口の増加分は、現役世代と高齢者で分かち合っていないという問題点がある。 ○ このため、「高齢者人口の増加」と「現役世代人口の減少」に伴う現役世代の保険料の増加分を、高齢者と現役世代の保険料規模に応じて分担する仕組みとする。これにより、高齢者と現役世代の1人当たり医療費の伸びが同じであれば、高齢者と現役世代の保険料の伸びはほぼ均衡することとなる。なお、現行制度は平成24年度に次期保険料の改定を迎えるため、新たな制度の施行に先立って見直す。 ○ また、国保については、まず第一段階は75歳以上を都道府県単位の財政運営とし、第二段階で全年齢で都道府県単位の財政運営とするため、少なくとも一定期間は、75歳以上と75歳未満で保険料水準や伸び率が異なるものとなる。同じ国保に加入しながら、1人当たり医療費の伸び率に差が生じ、1人当たり保険料の伸びが75歳以上と75歳未満とで大きく異なることは適当ではないことから、第一段階の間、75歳以上の保険料について財政安定化基金を活用して伸びを抑制できる仕組みを設ける。なお、保険料の上昇抑制に基金を活用するかどうか、どの程度活用するかは、基金を設置する都道府県の判断によることとなるが、そもそも基金を保険料の上昇抑制のために活用すべきではないとの意見もあった。 ○ 高齢者の保険料については、同一世帯の他の現役世代の保険料と合算し、世帯主が納付することとなるが、その際、65歳以上の世帯主が年金からの引き落としを希望する場合は、現行制度同様に実施できるようにする。また、現在、国保と介護保険の保険料の合計額が年金額の2分の1を超える場合や、世帯内に65歳未満の被保険者がいる場合には、引き落としの対象とならないが、この場合も世帯主が希望する場合は、実施できるようにする。 ○ 保険料の上限については、現在、後期高齢者医療制度は50万円(個人単位)、国保63万円(世帯単位)となっているが、国保の世帯単位の上限に一本化した上で、被用者保険の上限額も勘案しつつ、段階的に引き上げる。 ○ 75歳以上の方に適用されている低所得者の保険料軽減の特例措置(均等割の9割・8.5割軽減、所得割の5割軽減)については、後期高齢者医療制度施行時の追加的な措置として導入されたものであるが、負担の公平を図る観点から、75歳未満の国保の軽減措置との整合性を踏まえ、段階的に縮小する。なお、実施に当たっては、75歳以上の1人当たり医療費は高く、毎月その85%の方がサービスを受けている一方で、9割軽減の保険料は全国平均で月額350円程度に抑制されていること、75歳未満の国保では最大で7割までの軽減であり世代間の公平を考慮する必要があること等について、十分な説明を行い、国民に理解を求めながら丁寧に進める必要がある。 *経過説明 後期高齢者医療制度の保険料は、2年ごとに改定されるが2010年度(平成22年度)の改定では14.2%もの引き上げが必要となった(結果的には財政安定化基金等の支出により、全国平均3%前後に止めた)。このような急激な上昇は、現行制度が現役世代と高齢者の保険料規模の違いを考慮せず、現役世代の負担増分の1/2を高齢者が負担するルールになっていたからである。 新たな制度においても75歳以上高齢者の医療費の5割は公費、4割は現役世代の支援金、75歳以上の保険料1割で現行と同じ負担構造であるが、高齢者の保険料の伸びを現役と同じ程度に抑えるための仕組みに変えた。 現役世代の保険料増加分を、高齢者と現役世代の保険料規模に応じて負担する仕組みとしたことにより、加入者規模が圧倒的に多く、また、所得水準の高い現役世代の負担が増加し、75歳以上高齢者の負担は減少することとなり、高齢者に対する差別的な制度から応能負担原則の制度に改善されることとなる。 高齢者の保険料の上限については、「国保保険料の上限は職域保険と均衡するよう引き上げる」よう主張してきた。最終とりまとめでは、国保の上限に一本化したうえで、被用者保険の上限も勘案し段階的に引き上げるとしており、応能負担の原則からみて妥当なものと考える。 低所得者の保険料軽減特例措置の段階的縮小については、公費による助成を行い急激な上昇を抑制するよう配盧すべきである。 ○ 75歳以上の方の保険料軽減判定については、新たな制度への移行を要因とする高齢者の負担増を生じさせない観点から、全年齢を対象にした都道府県単位化を実施するまでの間(第一段階の間)の措置として、世帯単位の判定に加え、後期高齢者医療制度と同様の方法による判定を行った上で、より高い割合の軽減を適用する。 ○ 一方、被用者保険に加入する高齢者の保険料は、職域内の連帯・公平の観点から、各被用者保険者の算定方法・徴収方法を適用する。 (4)現役世代の保険料による支援 ○ 現行の後期高齢者医療制度の支援金について、被用者保険者間では、各保険者の財政力にばらつきがあることから、加入者数に応じた負担では、財政力が弱い保険者の負担が相対的に重くなっている。 ○ このため、負担能力に応じた負担とする観点から、平成22年度から24年度までの支援金については、被用者保険者間の按分方法を3分の1を総報酬割、3分の2を加入者割とする負担方法が導入されたところである。 ○ 今後更に少子高齢化が進展する中で、財政力の弱い保険者の負担が過重なものとならないよう、負担能力に応じた公平で納得のいく支え合いの仕組みにすべきであり、新たな制度においては、被用者保険者間の按分方法を全て総報酬割とする。 ○ これにより比較的所得の高い共済組合や健保組合の負担が増加することになるが、負担能力に応じた公平な負担とする趣旨であることについて理解を求めていくことが必要である。 ○ なお、総報酬割の導入により協会けんぽに対する国庫負担が不要となり、その分を健保組合等が肩代わりする構図となっていることは問題であり、更なる公費拡充によって負担軽減がなされなければ総報酬割導入には反対であるとの意見があった。また、不要となる国庫負担分は、協会けんぽに対する国庫負担割合の引上げ、財政力の弱い健保組合への支援、前期高齢者への公費投入など、被用者保険のために活用すべきとの意見があった。一方、こうした意見に対しては、健保組合等と市町村国保の財政状況の違い等を考慮すれば、被用者保険だけの利益を考えることは適当ではないとの意見があった。 * 退職者連合が主張してきた総報酬割=応能負担による財政調整が、当面75歳以上について実現したものである。65歳以上の高齢者医療費勘定の実現と、そこでの総報酬割りの実現が次ぎの課題である。 (5)患者負担 ○ 患者負担については、これまで、義務教育就学前は2割、それ以降69歳までは3割、70歳から74歳まで2割、75歳以上は1割と、制度横断的に年齢に応じて負担割合を設定する方向で見直しが行われてきた。しかしながら、70歳から74歳までの方の患者負担については、現在、2割負担と法定されている中で、毎年度、約2千億円の予算措置により1割負担に凍結されているところであり、70歳を境に急に負担割合が低下することとなっている。 ○ 仮に、負担割合を単純に引き上げることとした場合には、今まで1割負担であった方の負担が急に2割へと増加する一方、1割負担に恒久化することとした場合には、各保険者の負担が増え、現役世代の保険料負担が増加する。 ○ このため、個々人の負担が増加しないように配慮するとともに、現役世代の保険料負担の増加にも配慮し、70歳から74歳までの方の患者負担について、新たな制度の施行日以後、70歳に到達する方から段階的に本来の2割負担とする。 ○ すなわち、個々人に着目してみれば、既に1割負担となった方の患者負担を2割に引き上げるものではなく、69歳までは3割負担だった方が70歳に到達するときから順次2割負担となるものであり、個々人の患者負担が増加するものではない。また、特に配慮すべき低所得の方については、1割負担でも2割負担でも、高額療養費の自己負担限度額は同額とする。 ○ なお、患者負担に関しては、早期に法定の負担割合とすべきとの意見がある一方、受診抑制につながるおそれがあり、そもそも現役世代の負担割合を含め引き下げるべきとの意見があった。 *経過説明 最終とりまとめは、70歳から74歳までの患者一部負担について、新たな制度の施行日に70歳に達している人は75歳まで1割負担(75歳からは1割負担)とし、施行日以降70歳に達した人から順次、現行制度本則に戻して2割負担(69歳までは3割負担)としたものである。 退職者連合は、65歳以上の患者の一部負担、保険の助け合い原則に基づき所得に拘わらず1割とし、所得差は保険料に反映するよう主張しており、最終まとめはこれとは逆方向になる。 4.健康づくり、良質で効率的な医療の提供等 ○ 今後増大が見込まれる医療費を広く国民の納得を得て負担いただくためには、国民が安心して過ごすことのできる医療の内容・水準を確保するとともに、国民一人ひとりが積極的に健康づくりに取り組む環境を整備すること等で医療費の効率化できる部分を効率化することが必要である。 ○ 平成18年の制度改正で、都道府県が、市町村・保険者等と協力し、医療費適正化及び関連する3計画(健康増進計画・医療計画・介護保険事業支援計画)を策定・実施することにより、都道府県単位で医療費適正化を進める仕組みが導入された。新たな制度においても、同様の仕組みを設け、都道府県単位で医療費の効率化できる部分を効率化する取組を更に推進する。また、都道府県・市町村・保険者等で構成される協議会を都道府県に設置し、地域の関係機関が一体となって取り組む体制を整備する。 ○ 各保険者が保険者機能を十分に発揮しながら壮年期からの健康づくりの取組を推進することが重要であり、特に特定健診・特定保健指導については、実施率の向上が課題となっている中で、実施率が高い保険者の具体的な取組状況等を踏まえ、実施率向上に向けた取組を進める。 ○ また、新たな仕組みの下では、健康診査・保健指導について、75歳以上の方も75歳未満の方と同様に、各保険者の義務として行うこととする。なお、国保の健診等の費用については、75歳未満同様、国・都道府県はそれぞれ1/3を負担することとする。高齢者への対応を含め、健診項目、保健指導のプログラムなど、技術的な問題については別途の場を設置し、検討を進める。 ○ 現在、特定健診・特定保健指導の実施状況による後期高齢者支援金の加算・減算の仕組みが設けられているが、@状況の異なる保険者を一律に比較することが良いかどうか、A加減算される金額が過大ではないか等の問題点が指摘されている。各保険者の特定健診・保健指導の実施状況等に応じたインセンティブの仕組みは必要であることから、現行と同様の支援金を加減算する仕組みを新たな制度にも設けることとした上で、これらの問題点を踏まえて関係者間で詳細な検討を行う場を設置し、医療費適正化計画の第2期のスタート(平成25年度〜)までに結論を得る。 ○ 保険者による特定健診等のハイリスクアプローチに加え、健康づくりの普及啓発等のポピュレーションアプローチ(編注:集団全体に対して働きかける方法や環境整備)により、個人の行動変容に結び付けていくことが重要である。保険者、産業界、学校、マスコミなどを含めた社会全体を巻き込んだ国民運動が展開されるよう、介護予防の取組とも連携しつつ、環境整備等を進める。 ○ 高齢期における医療の効率的な提供を図るための取組を推進するため、後発医薬品の使用促進、レセプト点検、医療費通知、重複・頻回受診者への訪問指導、適正受診の普及・啓発など、各保険者における取組の更なる充実を図る。 ○ 一方、医療サービスについては、病院・病床の機能分化の推進、急性期医療から慢性期医療、在宅医療までの切れ目のないサービス、地域医療のネットワーク化などが求められる。特に、医療と介護の両方のニーズを持つことの多い高齢者にとっては、地域ごとに医療・介護・福祉サービスが継続的・包括的に提供される体制づくりを進めることが求められる。 ○ 平成24年4 月には、6年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定が見込まれており、これに向けて、医療提供体制の見直しや診療報酬・介護報酬の改定について別途の場で検討されることとなるが、上記の観点を十分に踏まえた医療・介護の一体的見直しを行うことが必要である。 *経過説明 国民の健康つくりについては、かつて長野県が県・市町村・保健所・診療所・医療機 関等が長年努力し大きな成果を上げたことを紹介し、政府は地方任せではなく、国・都道府県・市町村・医療機関が一体となって取り組むよう主張した。最終とりまとめは、健康増進と医療費の効率化が前提とはなっているが、都道府県・市町村・保険者等で構成される協議会を都道府県に設置し、地域の関係者が一体となって取り組む体制を整備するとしている。今後はその実施状況を検証しながら取り組みを進めて行く必要がある。 後期高齢者医療制度で努力義務という差別的な扱いを受けていた健康診査、保険指導については、75歳未満と同様保険者の義務として行うこととなり、国保の健診等の費用については国・都道府県がそれぞれ1/3を負担することとした。 2012年(平成24年)4月に、6年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定と、これに向けた医療・介護の一体的見直しを行う必要あるとしているが、退職者連合として今後十分な検討を行い、新たな要求を確立する必要がある。 5.その他の重要事項 ○ 65歳から74歳までで一定の障害の状態にある方については、患者負担割合や公費・支援金の取扱いを75歳以上の方と同様とする仕組みを設ける。 ○ 診療月の翌月にレセプト審査がなされ、診療報酬が支払われるため、医療保険制度の会計年度(4月から3月まで)は、診療月ベースでみると3月から2月までとなる。新たな制度の施行日を4月1日とすると、その直前の3月分の診療は、次の会計年度で1か月分だけ旧制度として処理することが必要となることから、このような状況を生じさせないよう、3月1日施行とする。 6.施行準備等 ○ 円滑に新たな制度を運営するためには、保険者等のシステムを万全なものにすることが重要であることから、後期高齢者医療制度導入時の反省に立ち、既に設置された「高齢者医療システム検討会」等において地方自治体等の意見を十分に聞きつつ、システムの詳細設計を早急に行い、着実にシステム改修を進める。 ○ 被用者保険における事務処理についても、既に関係者の参加を得て後期高齢者医療制度からの移行手続などについて実務的な検討会議が設けられているが、各保険者の状況も十分に踏まえながら、対応に遺漏が生じることのないよう計画的な取組を進めることが必要である。 ○ このようなシステム改修や被保険者の移行手続については、約2年の準備期間が必要であり、後期高齢者医療制度導入時の反省に立って適切に準備期間を確保することが必要である。 ○ また、新たな制度への移行に伴う運営主体の変更により、混乱が生じることのないよう、保険給付等の権利義務の承継、広域連合の解散などについて、国及び関係機関において円滑かつ確実に対応することが必要である。 ○ 併せて、国民に新たな制度の趣旨・内容を正しく理解していただくため、国は、地方自治体や保険者等と連携・協力しながら、国民に対する丁寧で分かりやすい広報に計画的に取り組むことが必要である。 ○ 制度施行後においては、費用負担の見直しをはじめとする今回の改正事項全般について、国は、継続的に検証(モニタリング)を行い、適宜、必要な見直しを行っていく必要がある。 W おわりに ○ 1961(昭和36)年度に、全ての市町村において国保の運営を行うこととなり、国民皆保険が達成されたが、来年度で国民皆保険50周年を迎える。世界に冠たる我が国の国民皆保険制度は、国民の安心感の基盤であり、将来にわたって堅持していかなければならない。 ○ 一方で、「安心感」を確保するためには、相応の「負担」により、「国民全員で医療保険制度を支えていく」ことが必要となることは言うまでもない。高齢者の医療費を賄う財源は、公費・高齢者の保険料・現役世代の保険料・患者負担によって構成されている。そして、公費も保険料も患者負担も国民が負担者であることには変わりはない。高齢化の進展に伴い医療費が増大していく以上、仮に現行制度を維持しても、また、新たな制度をどのようなものにするにしても、負担増を伴わざるを得ない。 ○ このような中で、今回の新たな制度は、世代間・世代内の公平等に配慮しつつ、無理のない負担となるように、支え合い・助け合いを進め、より納得のいく公費・高齢者の保険料・現役世代の保険料・患者負担の組み合わせによる制度の実現を目指したものである。 ○ 特に、国費をはじめとする公費の拡充を図るべきことは本改革会議の意見の大勢である。現在、政府与党において社会保障・税の一体改革の議論が進められているところであり、医療保険制度の財源のあり方については、その議論の方向性に対応したものとする必要がある。 ○ また、医療サービスが良質で効率的なものでなければ、そのための費用を負担することに国民の納得は得られない。医療提供体制と医療保険制度は車の両輪であり、あるべき医療提供の姿、それを実現するための診療報酬、介護等との連携といった医療サービスに関する総合的な議論を精力的に進め、早期に国民に具体策を示していく必要がある。 ○ この50年間で社会経済情勢は大きく変化した。特に国保は、制度発足当時と異なり、高齢者や低所得者の加入率が高く、更に今後の人口減少を考えれば、保険財政の安定化のためには、財政基盤の強化と広域化の推進が不可欠である。国民皆保険50周年という節目の年に、国保の都道府県単位化に道筋をつけることは、医療保険制度の歴史において極めて大きな一歩である。 ○ 今後、厚生労働省においては、この最終とりまとめを踏まえ、法案提出に向けて取り組むこととなるが、国民皆保険を堅持し、持続的で安定的な医療保険制度を構築する責任を有する国においては、財政的な支援のあり方等を含め、運営を担う都道府県・市町村の十分な理解を得て対応することが不可欠である。また、負担が増加することとなる保険者・被保険者の理解を求めていくことも必要である。 ○ 医療保険制度は、セーフティネットとして国民の暮らしを支える重要な社会基盤の一つであり、制度が支持され安定しなければ国民の暮らしも安定しない。厚生労働大臣におかれては、この1年間にわたる本改革会議の議論を踏まえ、現行制度の問題点や新制度の意義を国民に丁寧に分かりやすい言葉で説明し、広く国民の納得・信頼・安心の得られる医療制度改革を実現されることを強く望む。 * 経過説明 退職者連合基本6項目の第1項に掲げ、第1回改革会議で主張した「公的国民皆保険を持続させる」ことについて、最終とりまとめは「世界に冠たる我が国の国民皆保険制度は、国民の安心感の基盤であり、将来にわたって堅持していかなければならない」と強調した。 また、一方で、「安心感を確保するためには、相応の負担により国民全体で医療保険を支えていく必要がある」こと。「高齢化の進展に伴い医療費が増大していく以上、新たな制度をどのようなものにするにしても負担増を伴わざるを得ない」ともしている。 最終とりまとめは最後に、厚生労働省はこの最終とりまとめに基づき、法案提出に向 けて取り組むことになるが、厚生労働大臣はこの1年間にわたる本改革会議の議論を踏まえ、広く国民の納得・信頼・安心の得られる医療制度改革を実現することを望む、と結んでいる。 |
||
|