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新副執行委員長に清水昭男さん(名鉄) 委員長・書記長は留任 定鉄(北海道)・北鉄(北陸)から新執行委員 ![]() |
7月9・10日の二日間、私鉄総連は三重県伊勢市鳥羽で、第81回定期大会を開いた。三重での大会は初めて。 今年は役員改選の年だが、委員長、書記長は留任、副執行委員長が名鉄出身の清水昭男さんに変わった。前副委員長の住野敏彦(中国・広島電鉄)さんは、交運労協へ転出する。新たに、北海道・定鉄から池之谷さん、北陸・北鉄から坂本さんが新執行部入りした。 藤井委員長は開会挨拶(あいさつ)で概略次のように語った。 「福島の13万人の方々を含め、26万人以上の方々が将来に不安を抱えながら、仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされている。汚染水処理問題についても、いまだに途上にある。このように課題が山積する中、安倍政権は、福島原発事故が様々な問題を抱えながらも収束を見ないまま、各地域での再稼働に向けた動きや輸出を進めている。私たちは東日本大震災を風化させることなく、私鉄総連全体で支えていく、このことを共有しなければならない」。 「また、安倍政権は、国民的な議論や意見を聞くことなく、国会閉会中の7月1日、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更について自民・公明が基本合意し閣議決定した。このことは、外交で平和的な解決を進めるのではなく、憲法9条の下で専守防衛に徹してきた日本の安全保障を大転換し、憲法改正へ大きな一歩を踏み出した。私たちは、平和で安心して暮らせる社会の実現に向け、戦争もテロも許さないという従来からの方針を堅持し、憲法を擁護し集団的自衛権を行使させないために国民的運動を強化しなければならない。」 「昨年12月に交通政策基本法が施行され、5月には地域公共交通活性化・再生法の一部を改正する法律が成立した。この法律は、各自治体の責務において、様々な諸条件に応じた交通とまちづくり、さらには、これまでは民間事業者の事業運営に任せきりであった従来の枠組みから脱却し、まちづくりと一体で持続可能な地域の公共交通ネットワークを再構築するというものであり、自治体を中心とした地域公共交通網の再構築を国が支援する枠組みが構築される。法の成立を受け、今後、それぞれの自治体で地域の公共交通網形成計画の作成が行われていく。私たち労働組合も積極的に参加し、自治体議員とも密に連携を図りながら意見反映を行っていかなければならない。 併せて、要員不足の関係については、国土交通省が厚生労働省と連携しながら、要員不足解消のための協議を進めているが、現状では、若年層や女性の活用という状況だ。抜本的な解決に向けた議論ができるよう、検討を重ねなければならない。」 「組織強化・拡大について。2010年度に新ステップ21を策定してから4年が経過した。登録人員については、各地連・単組の努力の結果、微増で推移しているが、2013年度については、減少となった。要員不足という課題を抱える中、公共交通を守る立場、さらには、産別組織と運動をさらに強固なものとするためにも、組織拡大に取り組まねばならない。 今、安倍政権の下、政府の産業競争力会議には、労働者の代表が参加できず、学者や経営者などが労働者保護ルールの改悪ともいえる働き方を検討している。残業代ゼロ、女性の活躍推進を掲げながら、介護や育児の分野においては、在宅勤務なら深夜割り増し賃金を支払わなくても良い――というような労働時間の規制緩和、さらに解雇の金銭解決など、様々な懸念材料がある。このような労働者保護ルール改悪の動きは、働く者を犠牲にしてまでも進める成長戦略ではない。連合などとともに、成立阻止に向けた取り組みが重要だ。」 「来年4月には、第18回統一自治体選挙が予定されている。第3回中央委員会で決定した選挙闘争方針に基づき、今後各地域で公共交通中心のまちづくりを築いていくため、さらに、地域間の公共交通に格差を作らないためにも、私鉄組合からの候補者擁立と推薦候補者の全員の当選に向けた取り組みが重要。 組合執行部が政治団体の重要性と必要性を認識し、職場の組合員とともに議論していくことで、組織強化と信頼関係がいっそう深まり、様々な課題に対して対応できる組織になると考えている。」 議長に更屋明日香さん 今回の大会で、女性・更屋明日香さんが正議長に就いたのは、一昨年の米子大会に次いで二人目。地元・三重交通の代議員。副議長には、秋田臨海の山下和雄さんと西鉄の古賀栄一さんが就任。 ![]() 大会は例年同様、一日目は午前中に来賓挨拶が続き、午後は運動方針、予算案の提案だけ。二日目に春闘戦術や交通基本法成立後での政策闘争のあり方を巡って、中小組合から多くの提言があった。 ことに春闘時の、事前にスト日程を立てずに回答を迫った戦術設定に対しては、経営側が誠意を持って回答に応ぜず、緊迫感が欠けたなど、地方組合の戸惑いの声も聞こえたが、真剣な中小組合の意見が例年よりも多かったのは、私鉄総連らしい大会――との印象を強くした。 台風8号の沿岸接近で大荒れの天気かと心配したが、鳥羽での影響は軽微。午後4時過ぎには新役員選出のあと大会宣言を採択して、つつがなく終了した。 |
大会宣言 |
日本経済は穏やかに回復しつつあるが、公共料金の値上げをはじめとする物価上昇、消費税の引き上げなど、景気と社会保障の先行きを危惧する面も多い。 第2次安倍政権は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認、武器輸出三原則の見直しなど、立憲主義を脅かすことを繰り返し、「安全と責任」を再認識しないままの原発輸出や原発再稼働を進めようとしている。あわせて成長戦略の名のもとに、労働者保護ルールの改悪も推し進めている。これらは、働くものとその生活を一切考えない、経済政策最優先の新自由主義そのものである。私たちは「国民の生活目線」の政策への転換を果たすためにも、取り組みを強めなければならない。 私たちの暮らしと産業は、平和でなければ成り立たない。平和憲法を擁護する取り組みを進め、戦争もテロも許さない平和な社会の実現にむけ、2014年度も総・地連、単組、職場組合員が一体となり、決定した運動方針にもとづき、産業別統一闘争をより強固なものとし、一糸乱れぬ取り組みを進める。 鉄道・バス・ハイヤー・タクシーで働く私たちは、常に安全が求められている。交通政策基本法成立後の取り組みは、安全安心な公共交通の果たす役割を利用者に理解してもらう千載一遇の機会である。政策実現に向け、政治力をつけるためにも、各級議員・組織内議員を議会に送り出すことが不可欠であり、交通政策要求実現に向けた新たな政治団体の設立をめざし、第18回統一自治体議員選挙勝利に向け取り組みを強める。 第81回定期大会は、「さらなる議論で意思統一 将来を見すえた産別運動」をメインスローガンに2014年度運動方針ならびに新執行部を決定した。 伊勢湾の真珠のように光輝き、笑顔と暮らしをはこぶ魅力ある産業となるよう、さまざまな課題の解決に向け、私鉄組合員の力を結集し総力をあげて取り組んでいくことを、宣言する。 |
2014年7月9日 私鉄総連第81回定期大会 |