不況時にもマクロ経済スライド!? 「社会保障と税の一体改革」で、年金改悪℃枕を盛り込み |
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| 退職者連合は9月16日、全国代表者会議を開いた。この中で特別報告として、内閣官房社会保障改革担当室長・中村秀一から『社会保障と税の一体改革について』と題した講演を得た。135nにのぼる膨大な資料による講演であったが、6月2日での「社会保障改革案内閣」のとりまとめを経て7月1日に閣議報告されたものだ。 「一体改革」は「税制抜本改革とともに2012年以降速やかに法案提出」とのことで先送り≠フ感もあるが、年金項目では「現行制度の改善」と表記しながら、不況時でのマクロ経済スライドの実施(現在は行われていない)を提起するなど、問題のある内容となっている(下表参照)。 |
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| 「財政健全化」で2010年代半ばまでに消費税10%アップ 今回の改革案での特徴は、財政健全化のため、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ」が盛り込まれていること。その上、上表のように、「マクロ経済スライドを不況時でも行う」「支給開始年齢の引き上げ」等が記されている。 現在は、不況時でのマクロ経済スライドは行っていない。ところが、現役の賃金がこのところ低下傾向にあり(年金額の落ち込みは物価低下分の調整だけのため)、「年金受給者は貰いすぎ」で「世代間格差が広がっている」との見方が出ている。学者の一部や日商、朝日新聞、日本経済新聞、産経新聞などのマスコミも、同調している。 現役賃金の低下傾向は、小泉自公政権がすすめたパート、嘱託、非正規・不安定雇用者の増大による低賃金構造が背景にある。引き下げ同調者はそうした背景の原因究明、改革=雇用安定、賃金引き上げによる地盤沈下の回復努力=には目もくれず、国民所得における賃金総額と年金額とのバランスが歪んで、世代間の不均衡が起きている――と強弁する。団塊の世代が年金受給者となり、年金の支え手である現役労働者と年金受給者の人口構成比率が縮小して行くことは確かだが、これを「世代間不均衡・不公正」というのはスジ違いで感情論だろう。 長い時間をかけて、所得代替率(現役世代の平均的なボーナス込みの手取り賃金に対する新規裁定時の年金額の割合)を50・2%まで引き下げる方向で「経済スライド」ができた背景は理解しているが、既に受け取っている名目年金額の引き下げは行わないことで、高齢者と労働世代の合意・均衡ができていた。 今回、それすら引き下げようとたくらむものであり、「姥捨て山」の発想が見え隠れする。到底、納得するわけにはいかない。 一体改革の大枠では、消費税アップが論議されており、介護・医療制度の充実のためにはそれもやむなし、と議論への参加をしようとしている年金受給者も、名目年金額すらも削減を謀(はか)るなどの「改革案」には、黙っているはずはない。この不況時のマクロ調整導入・実施は、年金受給者にとってダブルパンチであり飛んでもないことだと。退職者連合も、阿部会長が高齢者集会で「認められない」と表明している。 支給開始年齢引き上げも すでに年金を受けている高齢者には関係はないが、年金の支給開始を65歳からさらに遅らせる案も検討課題になっている。現在、年金の支給開始年齢と雇用定年は同一℃條とすることが定着しているが、この原則を守りながら年金支給開始年齢を引き下げることをどのように確保するのか、心配ではある。 なお、国民年金法には、不況時のマクロ調整をしないことが明記されている(法27条の4第1項ただし書、27条の5第1項ただし書)。一体改革で、この法案にあるただし書き条項を削除または改訂しないと「改革(改悪!)」はない。政府案はこの国民年金法をどうするのか、注視していきたい。 <資料> 国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)と改革案 (マクロ経済スライドの導入) ○ 社会全体の保険料負担能力の伸びを年金改定率に反映させることで、給付水準を調整(マクロ経済スライド)する。(ただし調整は名目額を下限とし、名目額は維持=法27条の4 第1項ただし書、27条の5 第1項ただし書)。 ・新規裁定者の改定率:手取り賃金の伸び率 − スライド調整率 ・既裁定者の改定率 :物価の伸び率 − スライド調整率 *スライド調整率:公的年金全体の被保険者数の減少 + 平均的な年金受給期間(平均余命)の伸びを勘案した一定率(注:平均で毎年約0.9%(平成16年当時の見込み)) 平成16(2003)年の年金改正の財政安定化策の柱の一つであるマクロ経済スライドは、物価、賃金が上昇している際に、年金額の上昇幅を抑制する仕組みであるが、近年、物価及び賃金が低下傾向であり、まだこの仕組みは発動していない。 (改革の方向性) ◎ 年金財政の安定のためには、物価及び賃金が低下している際にも、さらに年金額を減額して調整すべきとの意見がある(改革案)。 ◎ デフレ経済下においては、現行のマクロ経済スライドの方法による年金財政安定化策は機能を発揮できないことを踏まえ、デフレ経済下における年金財政安定化方策の在り方について検討する。 |
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| ○ 一人当たり手取り賃金や物価がある程度上昇し、 スライド調整を行っても一定程度は上昇する又は額が 変わらない場合には、そのまま適用する。【図1】 |
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| ○ しかし、一人当たり手取り賃金や物価の伸び が小さく、適用した場合には名目額が下がって しまう場合には、調整は名目額を下限とする。 したがって、名目の年金額が減少することはな い。【図2】 |
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| ○ また、一人当たり手取り賃金や物価の伸びが マイナスの場合には、賃金や物価の下落分は年 金額を下げるが、それ以上に年金を下げること はしない。【図3】 |
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