●私鉄総連第78回大会特集


7月13・14日 私鉄総連が尼崎で大会

“脱原発”をめぐり意見活発

 私鉄総連は、兵庫県尼崎市で78回目の大会を開いた。
 二日目の方針審議では、延41名が発言。「はじめに」の項から質問・意見がでたのも異例。
 「・・・・今回の事故によって『安全性』という大きな課題を突きつけられました。私鉄総連は、現在ある原発の、さらなる『安全性』を追求していきます。あわせて、代替エネルギー等についても検討を深めていきます」との方針記述に、方向が不明確――との質問が集中したもの。執行部は、「脱原発」の方向を示しながら、いっそうの論議を続ける――との答弁をした。
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 隔年で、都市型の大会をする――との考えに立ち、宿泊は、大坂・神戸の私鉄系8つのホテルを使い、尼崎までは阪神電車などで、25〜40分の“通勤”となった。従来のような送迎バスの準備はない。会場の尼崎総合文化センターは、近鉄系の都ホテルの隣で、昼食は全員が、弁当を同ホテルの広間を使ってとった。

 大会は、関西地連・北島委員長の司会挨拶で始まった。「菅政権は、震災・原発被災者の目線に立って復興政策を進めて欲しい」との言葉には、多くの代議員の思いが込められている。
 渡辺委員長の挨拶(別項)に続き、連合副会長・徳永自治労委員長が立ち、「震災復興は長い道のりだ。政治は混乱から混迷の様相だが、国民のための政治を、与野党に求める。民主党は政権交代の原点に立ち返って、政策を推進すべきだ。連合はこれまでの原発推進のエネルギー政策を凍結、再検討することにした。脱原発を基本として、自然エネルギー推進の政策をすべきだ」と強調した。
 交運労協・山浦副議長(運輸労連委員長)は、「大震災で、素早い立ち上がりと物流確保に努めたのは、交運労働者だった。交通基本法は閣議決定されたものの、国会審議に至っていないことは残念だ」と政策実現の方針を披露した。
 政党からは民主党・石井はじめ参議、社民党からは福島瑞穂党首が挨拶をした。石井参議は、「交通基本法の今国会での成立に努力する」と訴え、福島党首は「脱原発こそ、日本の進むべき道。安心・安全・人の命を大切にしよう。国会は、辞めろ、辞めないの党利党略ばかり」と報告した。
 全労済の石川会長は、今回の災害共済が11万件を超えたことを明らかにし、「共済支出は1千百億円になる。これを単年度で決算するので今年度は厳しいが、財政基盤はびくともしない」と安定ぶりを強調した。
 先の中央委員会で、私鉄総連の準組織内議員として推薦を受けた辻元清美衆議院議員は、震災におけるボランティアの活動ぶりを紹介、特に連合など組織からのボランティアの活躍に感謝を述べた。今後は、鉄道などインフラ復興にも力を尽くすべし、として「菅さんは、責任をしっかり果たして欲しい」と声援した。
 顧問団を代表し、渕上前参議が挨拶。エネルギーは脱原発・自然再生可能エネルギーへの転換が肝心だ、と主張を述べた。


 <別項> 
 渡辺委員長挨拶(要旨)

 渡辺委員長は、持ち時間を大幅に延長して挨拶した。翌日、会場で配られた要旨はA4版7ページを越えたが、ここではさらに縮小、掲載する。(見出しは、編者


 大会の開催にあたりましては、地元の関西地連の北島委員長をはじめとして、関西地連の皆様には本当にお世話になりました。特に、改革委員会の議論を経て、いわゆる中間年大会は都市型で開催をするということをご確認いただきまして始めての大会ということで、地元の関西地連の仲間の皆さんはもとより、参加された方々にもいろいろと負担をおかけしていると思いますが、都市型大会の成功に向けて、ご協力を改めてお願いをする次第です。

 第78回定期大会は、東日本大震災後の初の大会となります。この大会に被災地連、被災組合であります東北地連や関東地連の代議員、中央委員、傍聴者の仲間も、参加をいただいております。そして、東日本大震災で被災された仲間を支援していただいております全国の仲間が大会に結集しています。
 この大会を東日本大震災復興に向けた大きなステップとして成功させるために、共に全力をあげていくことが大切だと考えています。

 震災後の私鉄の取組み
 さて、3月11日に発生した東日本大震災は、日本観測史上最大の地震であり、巨大津波が広い範囲で甚大な被害をもたらしたことは、周知のとおりです(被災状況:略)。私鉄総連関係では、組合員でお亡くなりになられた方が2人、ご家族でお亡くなりになられた方が19人、家屋流失・全壊・半壊など137件となっております。改めて、東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災された方々にお見舞いを申し上げさせていただき、被災地支援と一日も早い復旧・復興に向けて、引き続き、私鉄総連の総力をあげて取り組む決意を新たにする次第です。
 そして、今なお、多くの組合員、ご家族は、生活基盤に大きな支障を生じている中で不安な日々を送っていることも事実です。そのような中においても公共交通・生活交通路線確保のために懸命に責務を果たしていることに心より敬意を表する次第です。
同時に、この震災で福島第一原子力発電所が被災をして、炉心溶融(メルトダウン)が発生し、溶融貫通(メルトスルー)という事態も指摘される中で水素爆発がおき、放射性物質が広範囲に飛散し、放射能汚染という最悪の事態がおきました。そして、海水にも放射性物質が流れ、海水汚染も発生しています。このことにより、周辺地域の立ち入りは制限され、生活・産業基盤が崩壊する事態を余儀なくされています。私鉄総連関係では、当初は、組合員21人、ご家族68人、7月8日現在でも組合員6人、ご家族6人の方が避難生活を送っています。
 経済産業省の原子力安全・保安院が6月6日に発表した最新試算では、事故直後から3月16日までに大気中に放出された放射性物質の量は、1986年のチェルノブイリ原発事故の15%にあたる77京ベクレルとされています。実に10の16乗という天文学的数値であるわけです。計画的避難区域、緊急時避難準備区域、そして新たに設定された特定避難勧奨地点の方々はもとより、多くの国民が不安な日々を送らざるを得ない深刻な事態が続いています。放射線量検査(スクリーニング)の数値だけでなく、被曝量が距離の二乗に反比例する体内被曝や食物連鎖による放射能の濃縮など、子どもたちの将来への影響が本当に心配です。
 首都圏では、東日本大震災後の計画停電対応、節電対策に追われています。鉄道関係では、公共性から一定の軽減措置はされていますが、目前の本格的な夏シーズンを迎える中で電力供給不足が懸念されます。このことは、各地の原発問題の中で、全国的な課題ともなっています。
 私たちは、必要な労使協議を前提に、節電対策に協力していくことは公共交通に働く者として大切だと考えていますし、東日本や西日本産業労使懇談会の場においても総連、当該地連や大手組合は、日本民営鉄道協会、大手事業者側と意見交換をしてきています。
 原発事故の影響は、さらに、様々な食関係の出荷・摂取制限、風評被害などから観光客減など、深刻な影響が東北、関東地方以外の全国的にも生じています。
 現在、震災から4ヵ月が経過しようとしています。一刻も早い、被災者の救援、被災地の復旧・復興や福島第一原子力発電所の冷温安定が必要なことは、言うまでもありません。
 私鉄総連は、東日本大震災直後に本部に「東日本大震災対策本部」を立ち上げ、状況把握に努め、被災地現地に対して、緊急救援物資の運搬など迅速な対応策を全力で展開してきました。今日まで、10数回に渡り届けてきています。
 また、東日本大震災直後、直ちに、緊急中央執行委員会を開催して、@被害を受けた組合員への救援・救済を第一に全組織をあげて取り組む、A政府・自治体から企業に対して住民の輸送要請があった場合には、労働組合として積極的に協力する、B被災者の救済・支援と生活路線確保のための復旧活動などを最優先する――などの取り組みを指示しました。

 義援金7,500万円超える
 全国の仲間の皆さんの温かい支援の輪に支えられながら、この間、東北地連や関東地連に対して救援物資やお見舞い、連合ボランティアヘの取り組みをしていただきました。
 そして、全国カンパ、私鉄総連の総力をあげての本当に心温まるカンパ活動へご協力いただきました。6月末現在で7,512万3,540円の救援カンパの集約をさせていただきました。さらに、救援物資については、各地連、ハイタク、単組からご協力をいただきました。日本民営鉄道協会など事業者団体からのご協力もいただいております。改めて御礼を申し上げます。
 また、この間の東日本大震災に関係する政府や関係省庁などへの緊急要請行動も民主党私鉄交通政策議員懇談会、社民党私鉄対策特別委員会のご尽力をいただき行ってきています。
 そして、現時点では、震災復興対策や次年度予算に向けての概算要求も6月29日の細川厚生労働大臣、7月5日の大畠国土交通大臣と大臣室で直接要請行動を行うなど、政府・民主党に対して、公共交通維持活性化に向けた予算拡充と復興における公共交通の重要性、さらには労働環境など前向きで真摯な意見交換をしてきています。
 大畠国土交通大臣への要請行動では、6月9日の私鉄総連第3回中央委員会で決定し、機関紙などでも報告しております私鉄総連の3人目の準組織内国会議員の辻元清美衆議院議員・総理補佐官に同席をいただき、交通基本法の制定に向けた力強い要請も合わせおこない、共に汗をかいてきたところです。
 この間の被災現地での不眠不休の取り組みやそれを包み込む各地連の取り組みなどについて、語り尽くせないほどご苦労があります。これらの活きた教訓に学びながら、同時に復旧・復興に向けて、さらに全国の仲間が一体となり、私鉄総連の総力をあげて支援していこうではありませんか。
 第3回中央委員会でも報告しましたが、連合や交運労協は、東日本大震災対策本部を立ち上げ、被災地支援や政府への要請行動などを精力的に取り組んでいます。特に、連合のボランティア活動は、民間団体の最大規模としてすでにのべ日数で20,000人規模の方々を派遣しています。この連合ボランティアに対しては、被災地住民の方々からの感謝の声が多く届けられています。そして、連合ボランティアの宮城県の拠点(ベースキャンプ)として、宮城交通労組会館にお世話になっております。宮城交通労組の仲間の皆さんに感謝をしますと共に、この連合ボランティア活動に対する全国の私鉄の仲間のご参加に改めて感謝を申し上げます。
 交運労協も全国の各地方代表者会議を現地で開催しながら、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部を東北交運労協の事務局長の宮城県交通労組に大変お世話になりながら実際に見てまいりました。この取り組みには、交通運輸関係の世界組織であるITF(国際運輸労連)からもロンドン本部から代表を派遣していただき、共に現地を見てきました。言語を絶する事態をしっかり目に焼き付け、改めて、復旧・復興の困難さとそれを必ずやり遂げる決意を胸に刻みこんだところです。
 また、政府は、この東日本大震災に対して、4兆円の補正予算を策定し、また、第177通常国会において16件の法律案を提出や成立させながら復興基本法などを軸にして対策にあたっています。37件の政令も出しています。国土交通省は、復興に向けて社会資本整備計画を見直し、公共交通の必要性を盛り込んだ内容の検討などを労働側の代表委員も参画している審議会で検討しています。準組織内国会議員の3人の方々をはじめ、民主党交通政策議員懇談会や社民党私鉄対策特別委員会の国会議員もそれぞれの重要な職責の中でこの間、不眠不休で奮闘されてきています。
 しかし他面では、政界は、この国難の時代に、党利党略やためにする批判など一部マスコミを巻き込みながら、深刻で残念な事態を続けています。今こそ、与野党を超えて全力でこの事態にあたることを最優先にすることが政治の役割です。与党の挙党一致は、その前提です。そして、歴史的な政権交代後の新政権は、旧来体制を構成し依然として力を持っている自民党・財界・官僚・保守イデオローグなどに包囲されているという認識を持つべきです。私たちは、時計の針を戻さず、労働組合の立場で政策提言と必要な苦言をしっかりと呈していきます。
  

復興支援への感謝を漫画に

東武・阪神・南海の似顔絵青年たち

ポスター最優秀作品

 秋闘から春闘へ
 次に、主要議題の運動方針についてです。当面する11秋闘については、2011年労働協約闘争の産業別統一要求として、@60歳以降の働き方に関する労使協議の場を設置し、2013年4月以降、厚生年金の報酬比例部分の引き上げに応じて定年を段階的に引き上げること、A労働基準法及び育児・介護休業法の改正にもとづき、法定を上回る労働協約の改定をおこなうこと――、の2点を掲げて、地連や単組の独自要求と共に、その実現を目指して産業別統一闘争でたたかいます。
 世界に例を見ない高齢社会の中で、経験豊富な世代の人財を活かしていくことは、私たちの生活の視点だけでなく、企業戦略としても必要とされています。私鉄総連は、将来展望を見据え、いよいよ本格的に定年延長というハードルに挑戦していきます。
 労働基準法や育児・介護休業法の改正に基づく法定を上回る環境整備は、より良い労働環境や良い人財を確保していく上でも大切な課題です。
 これまで2005年、2007年、2009年と2年ごとの秋闘で産業別続一闘争としてたたかってきた非正規雇用労働者の正社員化の取り組みや環境改善は、全体の4割の単組で「3年経過した非正規雇用労働者の正社員化」が実現しています。
 引き続き、末到達組合においては、それらの課題も追求していくことが必要です。私鉄総連は、非正規雇用労働者の雇用形態や労働環境改善に引き続き全力をあげていきます。
 
 第2に、春闘についてです。
 11春闘のヤマ場を目前にした東日本大震災の発生は、春闘に大きな影響を及ぼしました。私鉄総連は、現地から送られてくる地震や巨大津波による私鉄総連の仲間に対する被害の深刻さと救援を求める私鉄総連組合員の悲痛な生の叫びを受け止め、仲間の救援を第一義の課題として、東北地連や関東の茨城ブロックなどを中心とした仲間の救援、支援を最優先するために、統一闘争を解除してその任にあたることを中央闘争委員会で決定をして、全力で被災地救援・支援にあたってきました。
 連合や交運労協の各産別も同様に、被災地支援を最優先とする取り組みを相次いで決定して、対応してきました。春闘の凍結や闘争解除なども公益関係産別は決定し、11春闘は、労働界あげて東日本大震災に対する対応を最優先とした取り組みとなりました。
 各地連、単組は、そのような中で本当にご苦労をいただきました。首都圏では、計画停電への対応など取りまく環境の激変と震災ヘの対応の中で、全力で交渉をしていただき、厳しい中にあってもほぼ前年実績を確保できたことは、大きな成果だと考えています。
 経営側には、この労働側の対応を真摯に受け止めることが問われています。今後の震災後の厳しい経営環境においても、コスト意識のみで働く者への一方的な犠牲転嫁の姿勢を持つことは許されることではありません。
 12春闘については、具体的には、新年度の第1回中央委員会で12春闘職場討議案として提起しますが、基本は、東日本大震災の緊急避難的対応を元に戻して、産業別統一闘争でたたかう方向性を提起します。
 ただ、皆さんが肌で感じていますように、この東日本大震災の影響は、まだまだ続く懸念があります。すでに、大手私鉄グループの平成24年度3月期連結決算見込みでは、次年度に向けては、大幅な減収減益見込みとなっています。
 手をこまねいていては、12春闘を取りまく環境は、ますます悪化してしまいます。この国難とも言うべき事態の中で、新たな事態を的確に分析し、産業の発展とそこで働く組合員のために、必要な事業施策の展開は経営側に強く求められています。公共交通維持活性化とそこで働く組合員に必要な政府・自治体への要請行動も震災後の状況に踏まえ、私鉄総連として展開しなくてはなりません。
 また、この非常事態の中で、12春闘時の平成24年3月期連結決算の第3四半期決算を単純に対前年比で対比させ、労働側にのみ一方的に責任を転嫁するような経営姿勢が12春闘労使交渉時にあるとすれば、許されるものではありません。
  
 交通基本法に全力
 第3は、交通基本法、統一自治体選挙、交通政策闘争についてです。交通基本法は、震災対応を優先せざるを得ないことから、実質審議に入れてはいませんが、震災でも明確なように国民生活に大切な社会的インフラである公共交通の役割を基本法として整備するために、早期成立に向けて取り組みを進めていきたいと考えています。
 統一自治体選挙は、震災という特殊状況で大変厳しい選挙戦でしたが、各地連、単組の皆さんの並々ならぬご奮闘や支援していただいた連合や交運労協などの仲間の皆さんのご尽力で組織内30人、組織外推薦258人の候補者の当選を勝ち取ることができました。ご奮闘に対して改めて感謝を申し上げます。
 また、その中で、先の参議院比例区選挙において私鉄総連組織内候補としてご奮闘いただきました「いたくら一幸」氏も函館市議選に立候補され、見事に上位当選を果たしました。「いたくら一幸」氏は、私鉄自治体議員団の一員として、地域社会の発展と公共交通維持活性化のためにさらにご尽力をいただくこととなります。私鉄北海道、函館バス支部の皆さん、函館市議「いたくら一幸」氏に改めて敬意を表する次第です。
 そして、準組織内国会議員の細川律夫厚生労働大臣、松本龍前復興大臣、そして新たに決定いただいた3人目の辻元清美衆議院議員・総理補佐官を始め、民主党交通政策議員懇談会、社民党私鉄対策特別委員会の国会議員、安井勉議長を始めとした私鉄自治体議員団の方々と連携を密にして、交通政策闘争の前進を実現していくことが必要です。

 脱原発に向けて
 第4は、原発事故を受けた今後のエネルギー政策についてです。福島第1原子力発電所のメルトダウン、水蒸気爆発などで放射性物質が大量に飛散しました。その影響は、地元の福島交通労組の皆さんはもとより、全国に及んでいます。
 現在、政府・電力会社による懸命の復旧努力が続けられています。そして、この復旧作業には、様々な産業で働く連合や交運労協などの組合員も多く携わっています。夏場の過酷な環境で必死に努力されている仲間の皆さんの思いが実ることを願うと共に、全ての被災者への救済・補償はもとより、放射性物質による汚染状況について、わかりやすい的確な情報公開が必要です。
 一方、今後のエネルギー政策の見直しが現実的に必要となっています。まず、福島原発の早期復旧と事故の徹底的な分析と全国の原発の安全総点検が必要です。そのことを抜きにした安易な再稼働は、事故の教訓化とは無縁な論理となります。
 原発の安全神話は、完全に崩壊しました。日本の将来に向けて、安心・安全なエネルギー政策を求めていくことは愁眉の課題です。このことの実現に向けて、脱原発のエネルギー政策には、産業や国民生活のあり方とも密接不可分なことから、一方で、慎重に研究・検討を重ねていくことも必要です。
 連合は原子力政策を安全と国民合意が担保されないことから凍結を決定しました。今後のエネルギー政策について、脱原発を視野に入れながら、理論面・現実論など様々な視点で産別内部の議論を深め、連合の議論や平和フオーラムの議論や運動に積極的に参画をして、未来を担う子どもたちが安心して暮らせるために努力を重ねていくことは、私たちの後世への責務です。

 歴史的転換に向け
 以上、いくつかの運動方針案に関わることを述べさせていただきましたが、世界は、中東や北アフリカなど不安定な情勢が依然として続いています。東アジア情勢も大陸棚資源をめぐる近隣諸国の軋蝉が依然続いています。アフガニスタンやパキスタンでは、アルカイダの指導者ビンラディンが殺害され、報復テロなども起こっています。中東の不安定な状況は、私たちの産業においても燃料費高騰の危惧と直結します。
 私鉄総連は、産業の発展とそこで働く仲間の魅力ある労働環境の改善に向けて、産業別統一闘争でたたかいます。そして、一切の戦争とテロに反対し、平和憲法を守り、安心して暮らせる社会を目指し、沖縄を始めとした基地の縮小・撤去などの平和運動を連合や平和フォーラムなどと共に、これからも展開していきます。また、東日本大震災後の特殊状況の中で懸念される春闘の現実的終焉を阻止するために、春闘産別としての社会的責務を果たしていきます。同時に、交通基本法の早期制定と関連事業法の改正で公共交通の未来を創造していきます。
 日本の国難とも言うべき3月11日の東日本大震災は、私たちに今後の日本の未来像をどのようにしていくべきか、ということも突きつけています。
 近代日本の歴史は、1868年の明治維新から始まりました。そして77年の歴史を経て1945年に悲惨な太平洋戦争が終結しました。そして焼け跡からの戦後復興から立ち上がり66年が経過をして東日本大震災が発生しました。
 2011年現在の日本は、世界の歴史で初めての超高齢社会に突入しています。膨大な財政赤字を始めとして自民党・財界・官僚中心の負の遺産は、政権交代後も政治・経済・社会を暗く覆っています。東日本大震災と福島原発事故は、その一番困難な状況の時に発生しました。
 私たちは、このような時代背景を鑑みた場合に、東日本大震災からの復旧・復興は、未来に向けた第3の新たな近代日本史の過程として捉え返し、未来に向けた新たなチャレンジとして全力で取り組みをしていかなければなりません。東日本大震災の過程でも再認識された社会インフラとしての公共交通の役割を、未来に向けて前進させることも大切です。
 復旧・復興への道のりは、長くかかることでしょう。運動方針のスローガンとして提起した「震災のりこえ私鉄産別運動再強化」を合い言葉に、この歴史的な第78回私鉄総連定期全国大会で向こう1年間の運動方針を確立し、私鉄総連の未来を、東日本大震災で被災された仲間の未来を、全国の仲間と共に創りあげるよう、中央執行委員会は奮闘する決意を申し上げて、大会冒頭の挨拶とします。

裏方の仲間たち

災害を伝える報道写真

完売・追加注文のタイピン売り場
 
 私鉄総連大会は、次の二つの決議・宣言を採択した。

 東日本大震災からの復興をめざす決議

 3月11日に発生した東日本大震災は、マグニチュード9.0という国内観測史上最大の地震により、大津波や原発事故を誘発させた。今回の災害で亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げる。
 7月5日現在、死者15,534人、行方不明者7,092人に及んでいる。仮設住宅での不自由な暮らし、故郷を離れての避難生活を余儀なくされている方もいまだ11万人をこえている。さらに福島第一原子力発電所の事故は、放射性物質漏れという重大な問題を引き起こし、原発の安全神話は崩壊した。日本のエネルギー政策は大きな転換点に直面し、まさに日本の将来を左右する事態となっている。また、原発事故による風評被害は国の枠をこえてひろがり、被災地を中心に日本国民は苦難を強いられている。さらに、電力供給不足により計画停電が実施され、鉄道の運行に大きな影響を与えた。震災による被害は広範囲に及び、人々の生活を脅かし、将来不安をぬぐい去れない事態となっている。
 私鉄総連は、震災直後に「災害対策本部」を設置して常駐体制をとった。 11春闘の統一戦術を除外し、震災の救済・支援と復興に全力をあげることを中央闘争委員会で決定した。ただちに国に対し、「地震に伴うバス事業関係燃料確保に関する緊急要望」「地震に伴う公共交通の安定輸送と避難輸送に関わる安全確保の緊急要請」「東日本大震災で被災した公共交通の復興支援について」などの要請行動を行った。また被災組合に対して、支援物資の輸送や被災救援カンパに取り組み、あわせて連合ボランティアについても5月18日から組合員を現地に派遣し、被災地の支援・復興に取り組んでいる。震災支援・復興に向けた一連の取り組みに対し、各地連・単組の温かいご理解とご協力に感謝するとともに、災害や避難生活に苦しみながらも、路線を守り公共交通の使命を果たし続けている私鉄組合員の皆さんの努力に敬意を表する。
 国家の根幹を揺るがすほどの国難ともいえる災害をのりこえ、新たな日本をつくりあげていくには、人と人とのつながりを大切にする労働組合の果たすべき役割は大きい。今こそ、助け合いと分かち合いの精神をいかすときである。震災の復旧・復興への道のりは、長い時間を要する。これまで培ってきた私鉄産別の力を最大限に発揮し、切れ目なく被災した仲間を支えながら、復興にむけて取り組んでいくことを確認し、決議とする。
2011年7月14日
私鉄総連第78回定期大会

大 会 宣 言

  第78回定期大会は「震災のりこえ 私鉄産別運動再強化」をスローガンとする2011年度運動方針を決定した。
 回復の兆しが見え始めていた日本経済は、3月11日に発生した東日本大震災の影響によって、先が見えない状況となった。特に電力供給不足の影響は、全ての産業に大きな影響を与え、私鉄においても様々な対応が必要となっている。その中で言えることは、私たち働く者の労働諸条件は依然として厳しい状況となっていることである。労働組合の大きな任務は、雇用と労働条件の維持向上にあり、果たすべき役割は山積している。
 私たちの働く交通産業でも、非常に厳しい環境が続いている。甚大な被害をもたらした東日本大震災における一つの光明は、組合員が自らの生活・家庭を守りながら、懸命の努力によって早期に復旧を果たし、住民の移動手段として活躍した公共交通が見直されたことである。特に化石エネルギーの枯渇や地球温暖化の防止などをふまえれば、これまで以上に輸送効率に優れた公共交通の任務は大きく、産業の発展に向け、労働組合として多くのメッセージを発信し続ける必要がある。
 経済や産業の動向もあり、私たち労働者の生活は依然として厳しい。しかし、私たちの生活、つまり労働条件を向上させるには、労働組合に結集し、全員の力でたたかいを組織しなくてはならない。
 11春闘では、緊急避難的措置としてヤマ場の戦術を除外したが、これを元に戻すことが大きな課題である。当然、11秋闘においても、これまでと同様の産別統一闘争を組織し、全国の仲間が一体となり、労働基本権を背景としてたたかい、12春闘に向けた態勢強化をはかる。
 私たち私鉄総連は、全国の組合員の強固な結束を武器に、産別全体でたたかいを進める組織である。そのためには、議論はとことんまで尽くし、決めたことは全員で守らなくてはならない。これまで築き上げてきた私鉄産別運動を、時代の変化も見据えながら継承し、さらに発展させていかなければならない。震災をのりこえ、当面する11秋闘、12春闘を全力でたたかい抜き、産別運動を再強化していくことを確認し、大会宣言とする。
2011年7月14日
私鉄総連第78回定期大会
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